(株)レッスンの友社、レッスンの友、2001年8月号掲載インタビューより抜粋

♪ボクがなぜ音楽で生きる気になったか・・・・・・magical不思議、魔法みたいなもので、どう説明したらいいか・・・・・・音楽は職業の一つではあるが、何か非常に特別なものとして心に語りかけてくる。ある人にとってはそれが「呼びかけ」として聞こえる。つまりそれを表現すべきだという使命感、天職として受け止める人がいる。ボクの場合もそうだったんです。
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♪ボクに提案させてもらえるなら、できるだけ早い時期から、非常にシンプルな短いメロディーを、そして楽譜を知らなくて耳からでいいから、良い表現で弾けるようになる教育をすることだと思う。まずそうしておいて、理解できるような時期になってからテクニックだとか、音価等、より複雑なことを教えると。
*******(中略)****** 
♪ボクがコンサートで弾くことになった。で、先生はボクの弾く曲に対して非常に詳細なレッスンをしてくださり、準備万端整えてステージに向かったが、本番で、ボクはすべてそれに逆らった、しかも楽しんで(爆笑)。
 勿論先生を怒らせる心算でやったわけじゃなく、自分自身の表現をしただけなんだ。でも、結果的に先生に逆らったことになってしまった。で、コンサートの後、恐る恐る伺うと、なんと先生、満面の笑み(笑)。コンサートは大成功と言って非常に喜んでくださった。
 後で実感したのです、このことは非常に大切なレッスンの一つだと。つまり、先生のおっしゃったこと、指示とは違っていたが、ボク自身が心から感じたことを確信をもって表現し、それが美しかったから先生は幸せだったわけなんですよ。このことは、ボクにとって貴重な教訓になった。演奏のゴール(最終目的)は、他人の言うとおりとか、正確に弾くということじゃなく、自分の感じたことだけに忠実に、美しく弾くことだということです。
*******(中略)****** 
♪言われたとおりに弾くのではなく、疑問を持ったら率直に質すべきで、それを解決していくことによって自分なりの表現ができてくるのだと思う。まず「自分はこうしたい」と思うことが表現を作っていくのだと。
*******(中略)****** 
♪まず、ピアノを、ということでなく「音楽」を学んでほしい。明らかにどんな音楽も人間の「声」に関連している。例えば、ベートーヴェンのピアノ作品を弾くのなら、彼の声楽曲、オペラ、そして室内楽、オーケストラ作品等について学ぶことによって、より豊かな表現ができるようになる。ピアノだけを勉強するということだけは絶対しないでほしい。そうやってきたピアニストの演奏は退屈なものだから。
 第二は(自分を)「信じること」。人は、神の存在を証明することはできないにも関わらず、信じているように。若い時というのは何につけても不安な思いにかられるものだが、自分の内なる声、才能,感性、フィーリングを信じることです。

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