小ホール(すり鉢状、300〜400席くらい?)で、ビデオと録音が行われていた模様です。
マエストロは紹介と共に登場。午後一杯同大学で個人レッスンをつけ、その後に登場の模様。
ステージ上にはピアノ(スタインウェイが2台で手前がハンブルグ、後ろがニューヨーク?)があり、手前が受講生、後ろがマエストロ。
ショパンは赤い表紙の楽譜をマエストロが手にしてましたからウニヴェルサルの原典版?、バッハは黄緑でしたからブライトコップフでしょうか?エミール・ザウアー校訂版でした(バッハは、ステージから「ハイ」って渡されてましたから、マエストロご自身の物ではないと思います。
学生は、ホール向かって左手に集中しており、右手側には殆どいない。私は正面(ということは手が見えない)の前から2列目A-17とかいうような席。
ショパンを学生が弾き始めると、マエストロは、ステージ上をステージの正面ややや向かって左のところまで歩いて行き、何か考える様子。これはホールからの「返り」のエコーを聴いているのでしょう。その後、ひらっつとステージを飛び降り、私の真横を通り、客席の中段の席に座り、演奏を聴いている。
仰せになっていること自体は全く当たり前のことばかり。インテンポで、とか、バスを効かせるとか、フレーズを意識するとか、音色で変化させるとか、という「客観的な部分」と「ここは御伽噺のように」というようなコルトーやネイガウスが言うようなことを言っておられました。ですが、その実際の演奏を示しながら!という点に大変に説得力があるというより、マエストロのかなり主観的な解釈も、ああやって示されると当たり前ながら客観的な基礎が大変にしっかりしているということが確認され、この点が私のような素人には大変に感銘深く、タクシーを飛ばして行った甲斐があありました。
一曲目のショパンの途中で、マエストロは時計を通訳の女性から借り、それをピアノに置いて一人1時間弱の目安で進めておられたようです。
そして、最後はマエストロの模範演奏のショパンです。
曲目;ショパン:ノクターン#13、エチュードOp.25-1,Op,25-2,Op.10-8,Op.10-6,Op.25-12
切れ目なく演奏されるショパンと言い、ザウアー版の指示について「この版の指示の一箇所はバッハもこうしたと思う」などと仰せになったり、とかなり古い演奏伝統の系譜に属している人だという思いを深くしました。